ジョン・アップダイク『アップダイク自選短編集』
- 作者: ジョン・アップダイク,岩元巌,John Updike
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1995/09
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 9回
- この商品を含むブログ (5件) を見る
14本の短編のうち特に印象に残ったものは、情景描写では、スーパーマーケットの風景をビビッドに描いた冒頭の「A&P」や、離婚の過程をプールやスロットマシーンという特定の事物を使って照らし出した「孤児になったプール」、「ネヴァダ」。モチーフやストーリーに惹かれたのは、少年時代の体験を元に生命観についてあらわした「鳩の羽根」、美術を介して出会う女性達が浮かんでは消える「美術館と女たち」かな。他の短編も読み返すとまた新しい気づきを得られそう。
身近な、ともすれば陳腐ともなりそうなモチーフを、精緻な眼で切り出す手腕がすばらしい。どうやら今の自分に必要な作家が見つかったかも、というのが読後の感想です。
手元に本を少しずつ揃えていきたいと思ったのですが、身近な中規模書店にはまずほとんどないですね、アップダイク。これも絶版本です。見かけるのは、今年発刊の池澤夏樹訳『クーデタ』くらいでしょうか。「現代アメリカ文学を代表する作家」(本書の著者紹介より)じゃないのかー。今年の1月に亡くなったということもあり、勝手にすれ違いを感じます…。
図書館で読み進めつつ、時間をかけて集めていくしかないかな。まず、この短編集は中古でいいから手元に置いておきたい。
(追記)Amazonマーケットプレイスで注文した!