Michel Camilo Big Band -Caribe-@Blue Note Tokyo

 すばらしかったよー!
 カミロのピアノはソリッドで明るく、音は厚くて、かつグルーブにあふれている。それぞれの要素を切り出してどれか1個でも持っていたら、ミュージシャンとしてやっていけそうな資質が、1人の腕の中にふんだんに詰まっていた。それでいてバンドをリアルタイムで完全に把握し、キューを出したり指揮したりするのだから、すごいを何度繰り返せばいいのやら。真剣な顔と開かれた笑顔と、展開によってぐっと表情を変える人でした。
 アンソニー・ジャクソンとクリフ・アーモンドを見るのは数年来の念願。席の関係でほとんど姿が見えなかったのは残念だけど、締まったプレイを聴かせてくれました。再見の機会を待つ!


 ビッグバンド側の席にいたのと、自分も管楽器の経験があるからというのがあって、ビッグバンドを見ていた時間が特に長かったと思います。
 バンドとしてすごく統制がとれている、というよりは、個々のパワーを存分に出し切ってそれを束にした、という感じ。なんてったって全員にソロがあったもんね。でもソロパートの連続する曲も、個性が強くて全然飽きさせない。そして、全体でキメる所はばしっとキメる。かっこよかったー。
 前列はパワフルなサックス部隊。バリトンサックス以外の4人はフルートやソプラノサックスに持ち替えもあり。リードのクリス・ハンター氏がすごく華やかでいい音だったなぁ…。中段のトロンボーンの人たちがぐいんぐいん動きながらソロをとる所も、楽器そのもののダイナミックさをありありと感じられてよかったです。トランペットは後列できっちりお仕事、終盤には華やかな高音のソロリレーという見せ所がありました。


 あと大所帯バンドならではというか、曲間や曲中に人間関係が見えるのが個人的には面白かったですね。バリトンサックスとバストロンボーンの人は低音同士で仲良かったり。トロンボーンソロで1回マイクスタンドのアジャスト部分ががたんと降りてしまったんですけど、隣の人が間髪入れずに直して、ほとんどアクシデント感を出さずに済ませてしまったりとか。あと、寡黙なテナーサックス奏者の方が3曲目で水をぐいっと飲み干してしまって、その後どうするんだろう…と思ったりとか(これは人間関係じゃないか)。
 管楽器ならではの生々しさとして、水滴が飛ぶとかいうのもあるんですけど、こんなに間近でプロの演奏を見聞きしたのは初めてだったので、臨場感を感じたし、「あ、私達とおんなじなんだ」と思ったりしました。
 でも音の出し方はもう素人と全然違うのね。我々素人だと直線的に音が出てくる感じだけど、面と圧力でどーん! と音が迫ってくる。真似のできるものではないけど、イメージとして参考にしたいと思ったなー。生で見たイメージだけで呼吸法とか違ってくると思う。


 セットリストもアンコールまで大満足! の、エネルギーに充ち満ちたライブでございました。


http://www.bluenote.co.jp/jp/artist/michel-camilo/
BLUE NOTE TOKYO:movie: - report : MICHEL CAMILO BIG BAND -CARIBE-