少年と青年と少女と「?」

 このブログは今まで、「よし、文章にまとめられるな」と思った内容を、まとまった時点で書く傾向にあったのだけど、ちょっと気分を変えて、着想段階でもどんどん文章にしてみようかと思った。書きながら考えるようなことをしてみようと。きっと他の誰かがすでに書き表していて、改めて書くのは無駄なのかもしれないけど、自分なりに考えた道筋を残しておくのは悪い事ではないだろう。


 そんなわけで、少し前から思いついていたのだけど、まだまとまらないことを書き始める。
 「少年」と「少女」は対になることばだ。「少年」が成長したものが「青年」にあたる。さて、「少女」が成長すると何になる?


 辞書で意味を引くと、実は「青年」は男女両方を含むことばだ。だから「少女」もやがて、「青年」になる。でもなんだかそれって実感として繋がらないというか、奇妙な感じがするよね。

せいねん 【青年】
(1)青春期にある若い男女。一四、五歳から二四、五歳頃までをいうが、広く三〇代をも含めていう場合もある。若者。わこうど。
シュレーディンガー方程式(シュレーディンガーほうていしき)の意味 - goo国語辞書


 普通の生活で目にする「青年」は、そうとうに男性寄りのことばだ。「青年誌」というのが、最もなじみ深い使われ方かもしれない。言うまでもなく、男性向けの雑誌だ。
 『のだめカンタービレ』や、「干物女」という流行語を生んだ『ホタルノヒカリ』が連載されている、講談社のKissという雑誌がある。集英社では、ドラマ化された『Real Clothes』が連載されているYOU、映画化される『プライド』のコーラスなど。
 これらの雑誌はティーン向けではない、20代〜女性をターゲットとしたコミック雑誌なのだけど、「女性向けコミック誌」としか説明できない(はず。ジャンルを指す専門語があったら教えてください)。


 「青年」ということばは、辞書にもあるとおり、ある幅をもった年代を指す。しかし女性側には、「青年」にぴったり対応するようなことばがない。そして、「女性」ということばは年代を持たないように見えるけども、実際の運用上、「青年」に対応させられていることがある。つまり、広い意味での「女性」と、少女でもなく中年でもないという、狭義での「女性」。同じことばでも、場合によって範囲が異なる使われ方をしている。*1
 「壮年」もおなじく男性寄りで、その年代に対応する女性のことばはないように思う。おそらく、狭義の「女性」が、「青年」+「壮年」と年代的にはニアリーイコールではないか。
 「中年」になると、男女両方に通用することばになる(それでも、単体ではやや男性色が強いか)。


 アラサー、アラフォーが新しいところであるけども、女性の年代を指す造語はこれからも定期的につくられ、やがて捨てられていくだろう。それは、従来の日本語の単語が、根本に上記の構造を持っているから。なので、女性の年代をカテゴライズできることばをつくってしまえば、急に便利になるので持てはやされる。しかし、華やかに登場したことばは、そのぶん時代の流れとともに古びてしまう。
 いつか「青年」と同じ重みを持つ、女性のことばができ、定着することはあるのだろうか。

(追記)
 女性の年代を指す造語について、「奇妙な言葉を作って喜んでる」と鼻白む男性もいるかと思う(当の女性の中にも、私のように、「いくら便利とはいえちょっと騒ぎすぎではないか」と思う者がいるくらいですから)。でも女性には、男性ほど世代に定着したことばがない、という背景を踏まえて、まあ少し穏やかに見届けてほしいのです。

*1:これを、「(狭義の)「女性」以外は女でない」、ととらえたりすると、フェミニズムとかなんとかで話がややこしくなるので、ここでは踏み込まない。無意識にその条件式を内面化している人々が少なくない(しかもそれは男性に限らない)という指摘もできそうに思うが、これもまたフェミ(略)