意味のないことがしたい

 誤解の無いように補足すると、「即物的でない、今の自分自身に関係の薄いことがしたい」という意味です。休養中で脳がそういう滋養を求めているんだなーと思って、素直にそうしてます。
 本の選び方に最もよく現れているのですが、だいたいこんな感じ。

  • 仕事に関わるもの(プログラミングとかビジネスメソッド関係)、ライフハック系は今のところご遠慮願いたい。
  • 洋の東西問わず、現代文学はほとんどパス。ノンフィクションは物による。
  • それ以外の海外文学は、比較的何でも読める。
  • 日本文学ならものすごい古典がよい。近代以降はちょっと避けたい。

 今が冬なら、編み物なんて始めてたかもしれない。語学をやろうとしたら(やる気はないですが)、仕事に関係する英語や、ご近所の韓国・中国語ではなく、すごく自分から遠い言語を選ぶことでしょう。チェコ語とかスオミ語とか。

「意味のないことがしたい」が行き着くところまで行った例

 として、「世界史を勉強したい」という気持ちがふつふつと煮詰まってきまして。寝物語がわりに、最近こんなのを読んでます。全4巻のうちの1冊目、今は東ローマ帝国が崩壊して中世ヨーロッパの終盤に入るところ。

ナビゲーター世界史B (1)

ナビゲーター世界史B (1)

 1巻がヨーロッパ史、2巻がアジア史(それぞれ18世紀まで、3・4巻は近現代)と分かれているのがよいです。教科書だと、時系列で各地域がごた混ぜになっていて読みにくかった記憶があるので、この構成は非常にアリ。語り口も、堅苦しくない程度にほどよく丁寧です。
 理系クラスだったので、世界史は必修の1年間のみ、どうも中途半端なところで終わりました。しかも先生が合わなかったのか、歴史自体をあまり好きになれずじまいだったのですが(というか、歴史がイヤで理系に進んだという面も否定できない)。今は別に受験するわけでもないので、用語とか超適当に流しつつさらっと読むだけ。こういう接し方ならけっこう面白いものです。
 そうそう、これを読み始めた頃、タイムリーにこんなニュースがあって驚きました。日々刻々と歴史は書きかえられていく。
http://www.asahi.com/national/update/0325/TKY200903250414.html

先史〜中世ヨーロッパ史雑感

 ヨーロッパ史は民族移動とか戦乱による領地の拡大・縮小とか、とにかくダイナミックですねー。地図の色分けを早回し動画で見られたら、ぐんにゃぐにゃですごいことになりそう。
 日本史は、基本的に「海」が境界となっているのでシンプルですよね。島の内部の支配体制がどう変化するか、外国との交流度がどれくらいかという話題がほどんどで、境界がゆらぐような波風というのはとても限られている(その分、授業では微に入り細に入り、の異様な詰め込み具合が求められた記憶がありますが…)。
 ヨーロッパはほぼ地続きですから、戦争によって国の範囲は伸縮し、また国による大きな支配の中にも、言語や宗教による民族の結束が存在する(一国一民族の時代は結束が固くなり、多民族が混在する場合は内乱・分裂が起きやすくなる)。マクロな動きとしては「領土を拡大するぞー」という支配層のシンプルな欲望で説明できる部分が多いのですが、ミクロな民衆の結びつきとしては、言語や宗教の重要度がきわめて高い。


 現代でも起こっている数々の紛争、あるいは激しい宗教対立というのは、ニュースの中の遠い出来事、実感の湧かない話でした。たぶんそれは、私が境界のほとんどゆらがない(結束のための宗教をさほど必要としなかった)日本に生まれたからなのでしょう。世界史を学んでいくうちに少しずつ、それらの動乱の源を理解していけるような気がしています。