セザンヌ主義@横浜美術館

 絵そのものより、セザンヌという1人の画家が手がけた作品にあれだけの豊かな要素が含まれていること、それを後世代の各人が自分の必要な部分を抽出して活用していること、に驚いたり。
http://www.ntv.co.jp/cezanne/


 いくつかの要素があるんだけど、たとえば、テーブルの上の静物画について、「クロスの左側、中央の果物、テーブルの右側面を少しずつ視点をずらした形で1枚の画面におさめている」って解説されていた。自分みたいな素人が見たら「ちょっと遠近法狂っちゃったのね」とかうっかり思ってしまう感じ。*1
 そこから要素を抽出して、ピカソさん達がキュビズム*2につなげていったりしたという…。遠近法を破壊し、形態を抽象化する。いわゆる「ピカソ的」と言った時に思い浮かぶ、あの表現ですね。
 こういうアプローチを知ることで、芸術を形にあらわすことについて、どれだけの思考実験がなされてきたか、ということの断片がちょっとだけ受け止められた…かな。
 ものの見え方・見方が一面的でないということ、また一面的になることを避けようとする芸術家の意識の動き。そのために、先人達の仕事を徹底的に分解し、要素を摘出し、自分の表現のための種とすること。絵そのものの感想というよりは、そういう画家達の姿勢と成果物を、心に留めておこうと思いました。