清水良典『MURAKAMI―龍と春樹の時代』

MURAKAMI―龍と春樹の時代 (幻冬舎新書)

MURAKAMI―龍と春樹の時代 (幻冬舎新書)

 W村上(とはすでに言わないのか)の年代別ブックレビューのようなもの。互いが呼応する(と筆者がみる)テーマを探す、という目的ありきの作品選びなので、たとえば春樹でいえば『世界の終りと〜』のような重要作が抜けていたりする。
 デビュー時の関係性は今までも各所で語られていたと思うが、00年代まで追っかけたというのはあまりなかったのかも。そういう新鮮さはあるけども、ちょっと対応付けが力技すぎやしないかなぁ、というのは序盤をのぞいて全体に感じるところ。
 龍の方は初期作はいくつか読んでいるものの、ここ15年くらいの作品は全く手つかずだった。近作(『半島を出よ』とか)にちょっと興味を惹かれたという点で、読んだなりの面白さはあったかな。