「世間の当たり前」と「違和感」の折り合わせ(夫婦別姓)

最初に、夫婦別姓についての自分の立場を明らかにしておきます
  • 特に強い別姓希望ではありません。
    • 今の名字に思い入れはそれなりにありますが、変えた時にそれ以上のメリットがあるため。(今は些細な面倒が多いのです)
    • 現状では、名字を変えない(守る)ことに関する時間的・精神的コストが大きい。手続き、事実婚状態の周囲への説明などなど。
    • 「女の子は好きな人の名字になるのが夢」という、幼い頃の周囲からの刷り込みの影響は、多少あると思います。
  • 上記のように、現状のメリット・デメリットから考える方向性ですので、もし別姓が可能になった場合は、どちらを選ぶかはかなり迷うと思います。
  • 男性が女性側の姓に合わせるのは、男性側がよければ問題ないと思います。自分の場合、ちょっと面倒な姓だよ、とは言いますが。

 ただし、別姓希望の人がいることは事実ですし、同姓にすべきということに、今のところ論理的な根拠を感じません。なので、「同姓が法律上マストであり、選択の余地がない」という現状は問題であると感じています。

本題、夫婦同姓で不満に思う女性達のことを考えます

仲良し夫婦だけど離婚届を出したい : 恋愛・結婚・離婚 : 発言小町 : 読売新聞
 小町のこのトピは、女性が姓を変えることに抵抗があり、しぶしぶ納得して夫の姓にしたものの、「やはり自分の姓は元の○○だ」という思いが年々つのり、ペーパー離婚→事実婚の状態に移行して別姓を実現しようというお話。
 「好きな人の名字になるのが女の幸せでしょ! 何考えてるの!」とか、いろんなものを内面化した上でその価値観を一方的に押しつける女性も紛れてますが(そして多分現実社会にも割といる手合いではありますが)、そういうのは華麗にスルーするとして。


 このトピ含む、夫婦別姓に関する議論を読んでいると、結婚前の話し合いがあるパターンで済まされた場合、問題が解決されずにまるっと残ることが伝わってきます。具体的に言えば、

  • 男性側が女性の違和感に向き合わず、「同姓が一般的、当たり前だから」の力押しで解決を迫る。
  • 女性はそれ以外の(物質、あるいは名義や名誉による)妥協点を飲むことで終了する。

 つまり、「世間の当たり前」VS「個人の違和感」の構図をそのままにしておくというパターン。


 これって、女性1人で考えている段階から、全く何も変わっていないんです。つまり、上記の場合、話し合いと言いながらも、男性との1対1の対話になっていない。男性が対話のパートナーではなく、世間の「あたりまえ」の力を強める媒介にしかなっていない。
 その状態で結婚に至った場合、問題がそのまま残るのは当たり前です。相手との結婚を考える以前から持っていた違和感が、同じ構図を素通りしただけで解体、緩和されるわけがない。

それを踏まえて、結婚前の話し合いに必要な心構えを自分で考えてみました

 別姓問題に限ったものでなく、また男女双方に言える一般的なこととして。

  • もし「当たり前」を通したいのであれば、まずは最低限、言葉を尽くすべきかと思います。一般的なやり方であるということは、複数のメリットが存在し、説明できるはず。
  • また、現状100%の解決(この問題の場合、婚姻かつ別姓)が不可能である場合、何が妥協できるかをピックアップし、選ぶことになると思います。相手の妥協のみを強要するのでなく、お互いにできる可能性を全て並列に広げ、そこから2人で選ぶことが必要なのでしょう。


 別姓に限らず、こういう「当たり前」と「個人の感覚」の相違が表面化しやすいのが、結婚というイベントのように思います。
 個人の感覚は本当にそれぞれですから、違和感を全くなくすことはできないかもしれません。ただ、世間VS個人でない、2人の間の話し合いを通過しないと、違和感の受け止め方が1人でずっとわからないまま、ということになり得るのですよね(1人でもわかるなら、結婚の話し合い以前に解決できているはず)。
 結婚の時こそ、「1人で持っている違和感について、2人で受け止められる新しい方法をつくる」機会なのだと、ポジティブにとらえたいなーと思う今日この頃です。